よりによってこんな日に。
いや、こうなることは薄々わかっていたのだけど、なんでまたこのタイミングで。
人間ってものはおよそ信頼するに値しない。こちらがいくら信じたとて、返ってこない。そもそも期待してはいけなくて、掛け捨ての保険みてぇなもんだろ、人間関係。いざと言う時に助けてもらえないことを考えれば保険のが幾分かマシか。
そうだね。
保険契約しよう。
英会話も始めよう。
プロテイン買って筋トレ器具買おう。
宅配食始めて、健康的な時間に飯食おう。
積立NISAもやるか。
メルカリで不用品売っ払おう。
資格試験の勉強をしてもいい。
信じられるのは自分だけだ。他人なんか、他人だ。誰も責任持たない。
金もねぇし、
子供もいない、結婚もしてない、彼女はいなくなり、
そこにおっさんが残った。
しかしながら、こんなおっさんでも傷つくんだよ。不便なもんさ。
傷つけた方は往々にしてシレッとしてるし、これから誕生日とクリスマスとお正月と、新社会人になって同棲とかし始めたりして、楽しいだろうな。
フェーズの違う人間だった。もう俺は残念ながらおっさんだ。おっさんのわりに心が安定してないけど、おっさんになってわかったのは、別におっさんになっても落ち着いた人間にはならないこと。ただ疲れて元気がなくなるだけだ。性格は変わらん。今の団塊の世代とか見てるとよくわかる。俺らはみんなその予備軍だ。
共に困難を乗り越えていける人でなければならないんだろうな。もう俺は色々超えてきてしまって、それでもまだ乗り越えないといけないハードルは次々とあるけど、それは段々と高くなっていることを感じる。しかし、低いハードルを今まさに飛び越えんとする人に対して、理解することはできてももはや寄り添うことはできない。見守ることしかできない。だって、横で俺がそれを飛んだら余裕なんだもの。
俺がこれまでの人生で見てきたものは、人から見たら大したことではないだろうけど、それでも一生懸命やってきたし、なんなら、もし簡単って言うならやってみろと言いたい。
もう、この一点において全く理解されない。乗り越えてきたことをわかってはもらえない。人生にそういう苦難があることを知らない人間には想像がつかないだろうさ。
興味を持たれないだろうさ。
同じようにやってきた人間だけかと思う。苦労をわかつこと。それなりに年齢を重ねた人だけかな。そんな人はしかし見つからない。もう誰かのものだ。
出会いはあるのかな。
もう俺の人生にゃ用意されてないのかもしれない。最終列車はとっくに行ってしまったのだろうし、奇跡的に乗った夜行列車は途中で脱線して転覆した。終わった。
つらい。誰かに縋りたいような気分だけど、不誠実な俺にはもう周りに人が残っていない。見から出た錆。
もう嫌になる。なんの価値があるのか、こんな人生に。